自動車交通環境影響調査業務
■ 業務の概要
・大都市地域における自動車の排出ガスによる大気汚染は深刻な問題となっており、これを抑制するために自動車NOx・PM法(平成13年改正)が定められ、車両の使用期限などが規制されています。
・本調査はこの規制の運用状況などを把握するために、三大都市圏において交通調査を行い、その結果をもとに、適合車両の割合や排出ガスの経年推移を算定したものです。
■ 主な実施内容
・三大都市圏における約300地点の幹線道路に観測ポイントを設け、車種別時間帯別交通量調査、ナンバープレート読み取り調査により、交通実態を把握しました。
・読み取ったナンバープレート情報(約60万台分)については、自動車の検査登録機関に照合を行い、車種、登録市町村、エンジン種別などをデータベース化するとともに、排出ガス規制の識別記号によるNOx・PM法への適合の有無などを確認しました。
・三大都市圏全体の排出ガスを推計するために、国土交通省が概ね5年おきに実施している「道路交通センサス」の域内全データに対して、平日休日別交通量、上下線別交通量、車種別交通量等を細かく設定し、年間の総排出量を推計しました。
・同法で規制されているNOx(窒素酸化物)やPM(浮遊粒子状物質)のほか、地球温暖化への影響の大きいCO2についても経年推移を確認しました。
■ 実施のポイント
・ナンバープレート読み取り調査においては、表示されている地名やひらがな等の各種の情報のうち、ひと文字でも読み間違うと、照合エラーとなるため、高い読み取り精度が求められます。SCOPでは、新たにナンバープレートの自動読み取り装置を導入し、95%という高い照合率を確保しました。
・道路交通センサスにおける三大都市圏のデータは、約2万4千地点分あり、これを時間別、車種別、重量別、燃料種別などに細分化していくと、10億以上のデータの処理が必要となります。パソコンの表計算ソフトなどでは処理できないため、独自のデータベースを作成し、推計作業を行いました。
■ 業務成果
・自動車交通量は、社会構造の変化などを受けて、近年ほぼ頭打ちとなっているとともに、車種構成についても、排気量の大きい普通乗用車が減少し、ハイブリッド車や軽自動車などの環境負荷の小さい車が増加している大きな傾向などを把握しました。
・NOx・PM法の運用の効果も明らかとなっており、規制対象ディーゼル車は年々減少しており、大気汚染が改善されていることなどを把握しました。
・経年調査であるため、交通状況や調査技術の変化などにあわせて、毎年改善を図っていくことが重要であり、次年度以降も、より精度の高い調査を行うための改善方法などについて、引き続き提案を行っていきます。