“地産地葬”ビジネス育成事業
■ 業務の概要
・長野県の民有人工林では採算性の低さから必要な間伐が進まないという問題を抱えていました。間伐を進めるためには、地域木材需要の拡大が不可欠です。そこで、古くから木材生産が盛んな塩尻市において、地域木材を活用した間伐材の新しい市場の創出および地域の建設業・産業の活性化をめざしました。
・間伐材の新しい市場を開拓するために、“地産地葬”というコンセプトを独自に開発し、それに沿った新しい葬儀製品を企画・製作しました。企画段階で市場調査、コンセプト開発、デザイン試作を行った後、実用実験と改良を繰り返し、最終的成果物としてデザイン棺を製品化しました。
■ 主な実施内容
・葬儀に関する市場調査から市場拡大傾向や葬儀のあり方の多様化を確かめ、宗教に関係なく需要のある遺影額・骨壷・棺の3点を商品化の対象としました。
・有識者等へのヒアリングにより“地産地葬”のアイディアをブラッシュアップし、製品の背後に「一生を終えた後、ふるさとの野山に還る」というストーリーを構築することで、普遍性と拡張性のあるコンセプトを開発しました。
・既存の木棺デザインと利用可能な県産木材の情報を収集し、樹種・構造材の選定を行いました。その結果、コンセプトを具現化するデザイン4案を開発、最終的には「編み案」を選定し、試作と改良を重ね製品化しました。
■ 実施のポイント
・プロジェクトの推進にあたっては、塩尻市建設事業協同組合と塩尻市、SCOPの3者で構成される「地域木材活用ビジネス創出協議会」を発足。10回に及ぶ協議会での議論を重ねるなど、建設事業者だけでなく、地方自治体や異業種との連携による地域活性化をめざしました。
・「地域の素材(木材)」「地域の人材」「地域の組織(建設業組合やその事業者)」という社会資源(=ソーシャルリソース)のマネジメントにより、新しい市場創造を行ったSRM事業の典型例といえます。
■ 成果と反響
・マーケティングとブランディングを兼ねて、デザイン棺を日本デザイン振興会主催の「グッドデザイン賞」へ応募し、一次審査通過により東京ビッグサイト展示会での出展を実現しました。この出展によりネット上でも評判となるなど、確かな反応が得られました。展示ブースには1,000人以上の来場者があり、コンセプトへの共感や商品への関心が寄せられました。